麝香(じゃこう)・・・鹿科の哺乳動物、麝香鹿の雄の麝香嚢から出る分泌物
写真は犬伏製薬株式会社のHPより

『麝香』

●神農本草経・・上品
●薬味・薬味・・辛・温、 気剤 
●帰経・・・・・心、脾、肝経
●薬効・・・・・辟悪気、殺鬼、精物。温瘧、蠱毒、癇痙、去三虫。 久服、除邪、不夢寤魘寐。

人に害を与える悪気の働きから避けさせ、鬼すなわち死人、精物すなわち物の怪の祟りをなくしてしまう作用がある。

また、はじめに発熱して、しばらくして悪寒を発する一種のマラリヤ様の病気や急に卒倒して痙攣するものを治すことができる。

さらに回虫、赤虫、蟯虫の三虫を取り除き、長期にわたって内服すると、人に悪い影響を及ぼす邪気(精神的ストレス等)を取り除き、そのために夢を見て飛び起きたり、寝ていて悪夢にうなされるといつたことがなくなる。

●日本薬局方・・・・強心、中枢興奮、抗炎症、男性ホルモン様、抗ヒスタミン作用

●<麝香の話>・・命を養う上薬   渡邉武博士

香りの良い生薬は、神経系や呼吸器系に作用して脳がリラックスした状態になった時に出て来るα波を増やすことも判明しています。

このように麝香は、牛黄、沈香、龍脳といった香りの高い生薬の仲間ですが、中医学では芳香性開竅薬のカテゴリーに分類されています。

これは芳香性生薬の効用、効果に加えて、気の働きを良くする薬能を兼ね備えた生薬という意味です。

つまり、気の滞りをめぐらし、気の発散を助け、気が足りない(気虚)の人を元気づけるといった生薬ならではの効果があるのです。このような優れた薬能から、麝香は最上級の気剤にランクされています。

現代社会にありがちなストレスによる気持ちの高ぶり、気持ちの落ち込みをコントロールして、私達の心と身体の健康を守ってくれます。

麝香は英語でmusk。

麝香は薬用だけでなく、香料として以前は高価な香水に配合されていました。