胡麻(ゴマ)・・・胡麻の種子

漢方薬としての胡麻

●神農本草経 ・・上品
●薬味・薬味・・・・甘・平
●帰経・・・・・・・・・肝・腎経
●薬効・・・・・・・・・老化防止・滋養強壮・粘滑・解毒

ゴマの種子には、
 黒ゴマには40~45%、
 白ゴマには50~55%の脂肪油を含み、
 その不飽和脂肪酸は、
 オレイン酸48.1%、リノール酸36.8%、リノレン酸などである。
 その他、蛋白質19.7%、
 炭水化物17%、
 カルシウム、鉄、リンなどのミネラルと、
 セサミン1%、セサモール0.1%、セサモリン、
 ビタミンB1・B2、ニコチン酸、ビタミンEを含有する。

この不飽和脂肪酸は、
動脈硬化の原因となるコレステロールや中性脂肪の害を防ぎ、
血管内のアテロームと呼ばれる
かゆ状の脂肪酸を溶かす働きがあり、
酸化した油の毒性を解毒する。
セサモールとビタミンEには酸化防止の作用がある。

中国晋時代の神仙思想家・葛洪の著作『抱朴子』にある胡麻の服用法
「上等の胡麻3斗淘浄して蒸し、気を全部に廻らせて日光で乾かし、水で淘げって沫を去り、再び前のように蒸し、9回繰り返してから、湯けて皮をむき、篩い浄め、香ばしく炒って末にし、白蜜、または棗膏で弾子状にして、1日3回ずつ、1丸を温酒に溶かして服す。これを100日まで継続して飲むと、能く一切の痼疾を除き、
1年連用すると身体や顔面に光沢が出て、がつがつ食べなくなり、
2年続けると白髪が黒髪に戻り、
3年連用すると歯の落ちたのが生え更り、4年も続けると水や火の害をはねつけ、5年連用すると奔馬にも追いつくような心臓と脚力がつき、不老延年ができる。」

胡麻と蜂蜜の栄養成分を考えると、今日の医薬学から考察しても、あらゆる肝臓栄養と皮膚粘膜のグロースファクター(生成要素)が完備されている完全食品で、吸収が良いので、一部の表現を除いては、誇大な発言ではない。

                             渡邉武博士「薬草百話」より