生姜(ショウキョウ)

『乾姜』
●神農本草経・・中品
●薬味・薬味・・辛・温 気剤 
●帰経・・・・・脾、胃、心、肺経
●薬効・・・・・主に胸満 逆上気を主り、中を温め、血を止め、
        汗を出し、風湿痺や腸 痢疾を逐する
        久しく服すれば臭気を去り、神明に通ず。

●日本のスパイスの代表選手

ショウガは熱帯アジア原産であるが、熱帯・温帯の各地で栽培されている。
日本には中国から渡来したので、古名を呉ノハシバミという。
シソをソフトなスパイスとすれば、ショウガは日本の代表的なハードな香辛料で、山椒、番椒とともに、薬味の代表選手である。
東大寺のお水取り(修二会)の食堂の作法を拝見したとき、この天平時代から続いた行法の配膳の後に、生姜、山椒、胡椒の三種の薬味が常備されているのを知って、用意周到なのに感心した。

●日本の食生活には欠かせない生姜

早春にはもやし生姜「芽生姜」、
夏秋には新芽や茎葉を伴った新根茎「新生姜」、
冬は気味が高く温性の強い肉根茎「ひね生姜」が、
四季を通じて日本の食膳に登場する。
新生姜は歯切れがよく、香気があって、まだ辛味が強くないが、ひね生姜は甚だ辛い。
新 生姜は、生のまま味噌を挟み、膾や焼き魚に添え、衣を着せて精進揚げとし、味噌漬、粕漬、砂糖漬、蜜漬、梅酢漬の紅生姜などに、またひね生姜は細かく刻 み、擂りおろして、魚のなまぐささを除き、膾やすしに添え、甘酒には欠かせない。
搾り汁は酢に合わせて、生姜酢とし、生姜糖や生姜飴まで、幅広い分野にわ たって使用されている。

                                 渡邉武博士「薬草百話」より