『附子』ブシ・・トリカブト

        キンポウゲ科の多年草、

        ヤマトリカブトと同族植物烏頭の側生する塊根

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●神農本草経・・下品
●薬味・薬味・・辛、温 水剤
●帰経・・・・・心、脾、腎経
●薬効・・・・・治風寒、咳逆、邪気、温中。金瘡、破癥堅、積聚、血瘕、寒湿、萎躄、拘攣、膝痛、不能行歩。


●薬理作用・・・鎮痛作用、強心作用、血管拡張作用、肝臓での蛋白質生合成促進作用、抗炎症作用抗ストレス作用

●有毒

渡邉武博士著『薬草百話』より

北門の守護薬・附子(玄武)

玄武は北方の守護神で、黒を象徴する。

北は寒冷であるから、漢方では寒さや冷えによっておこる

風邪や腹痛、下痢、低血圧、神経痛、リュウマチなどを陰病と呼び、温熱薬である附子や烏頭を配合した漢方薬で中和して治療する。

その代表的な薬方は「玄武湯」と名付けられた。

「玄武湯」は、後漢時代の張仲景の著作「傷寒論」にあったが、宋代に印刷技術が開発され、今日我々が手する「傷寒論」は宋代に出版されたものであるから、宋朝の皇帝の名の玄を避けて「真武湯」と改名されて今日に至っている。

寒冷の病邪が、身体の表裏内外からくるのを予防・撃退する名方である。

古くは、正月の屠蘇には、必ず寒を避けるため附子が配合された。

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附子は、冷えをも、水滞も治してくれる素晴らしい生薬ですが、薬用部位の根だけでなく、花にも猛毒があります。

なので漢方ではそれを減毒して用います。

狂言の『附子(この場合はブスと読みます)』にも附子がでてきます。

ご自分を冷え性だと言われる女性は多いです。

でも「エネルギー不足による冷え性」ではなく「瘀血がある為の血行不良よる手足の冷え」である方も相当数いらっしゃるのも事実です。

ご自分を「冷え性」とお思いでしたら、エネルギー不足なのか?瘀血なのか?そこのきちんとした見極めが大切です。

そして瘀血のある方への安易な温熱薬の使用や、温熱療法はかえって害になったりもします。

温熱薬や温熱療法で

「のぽせ、頭痛、蓄膿症、動悸、心臓痛、咳etc.」の症状が発現するようでしたら温めることはすぐにストップして、駆瘀血剤や清熱剤を!

どんなに素晴らしい処方でも、どんなに素晴らしい療法でも、その方の証を間違ったら害になります。

瘀血、血熱のある方は、安易に温めては駄目ですよ。