蒼朮、白朮(オケラ)・・・キク科、オケラの根茎

『朮』
●神農本草経・・上品
●薬味・薬味・・苦・温 水剤 
●帰経・・・・・脾、胃経
●薬効・・・・・風寒湿痺、死肌、痙、疽を主る。
         汗を止め、熱を除き、食を消し、煎じて餌と作す、
        久しく服すれば身を軽くし、年を延べ、飢えず。

  人波の おけら詣でに うちまじり    秀好

京都の年中行事の劈頭を飾る「おけら詣」は元旦寅の刻(午前4時)に始まる祇園・八坂神社の削掛けの神事である。
檜材を摩擦して聖火をつくり、削掛けに移し、薬草オケラを加えて焼き、その火で新年の供物を調える。
この祭事に、市民は除夜から参詣し、近頃は大晦日の夕刻から、この神火を火縄に受け、元旦の雑煮を祝う火種とする。
この夜は電車や乗物に火縄を持ち込むことが許されるので、長い火縄を持ち帰るのが、今日の民家のならわしである。

元旦の雑煮の前に出るお屠蘇にもオケラが加えられているので、京都の正月はオケラで始まることになる。
おけら火の神事は、祭神の水神に因んで、水を追い湿気を払う薬草オケラが、この火と水の信仰として伝えられているのである。
おけら酒も授与されている。

オケラは古来、利水薬や芳香性健胃薬として常用されてきた漢薬で、今日でも日本薬局方に収載され、健胃、消化、食欲増進、嘔吐、下痢、去痰や身体の痛みを止めるのに用いる重要生薬の1つである。

                           渡邉武博士「薬草百話」より

わが師・渡邉武博士のご先祖は、鬼退治で有名な渡邉綱とか。
渡邉先生は、いつも言われました。
「鬼でも謝ったら許してやる、
 それが退治するということで、殺してしまうことではありません。
 漢方で病気と闘う時も同じです。」
一方、病院では、
「癌は消えています。
 でもお亡くなりになりました。」
なんていう笑えない言葉をよく耳にします。
癌でも何でも、謝って大人しくなった病魔は許してやるのが漢方です。

渡邉先生は、生粋の京都人でいらっしゃいました。